行財政改革へ挑む

行財政改革への取り組み

私は別府市の最重要課題の行財政改革に一生懸命取り組んでいます。改革の目的は、皆さんにお預かりした税金を効率的に使い、一円でも多く皆さんに福祉、教育等の行政サービスとしてお返しすることです。

民間で可能なものは民間へ

同じサービスが提供できるのであれば、その方法としてコストの高い公務員からコストの低い民間への切り替えが必要となります。

民営化によって生み出される財源

「直営」(公立)から「民間」(委託)、「嘱託・パート等」に切り替えることによって生み出される額は

人口10万規模程度の市の場合


・ごみ収集で         約2億円
・学校給食で         〃1億円
・学校用務員で        〃1億円
・学校警備で         〃1億円
・公用車(10~20台)で     〃5千万円
・ホームヘルパー(30人)    〃5千万円
・文化、スポーツ施設の管理で 1億円~2億円
・保育所で          3億円~5億円
(大阪府下や東京都下では10億円~15億円)
・幼稚園で          3億円~5億円
・学童保育で         2億円~3億円

計           15億円~30億円

であり、このほかに、調査の対象として取り上げた他の業種を加えると、年間20億円から40億円という額が浮く計算となります。
 公と民とで仮にサービスが同じだとすれば、税金を公にだけ2倍以上投入するのは、著しく不合理、大変な税金のムダ遣いとなります。

住民に対するサービスが、直営も委託も、パートもほとんど変わらないとすれば、直営は民間に比べて毎年、何10億円という額が余分にそこに投入され、いわばその金額だけ税金が“死にガネ”となってしまうのに対し、委託、パートだとその額が、まちづくり等に振り向けられ、“生きたカネ”となります。
ましてや、民の方が公よりもサービスがよいとなれば、民営化によって得られる効果は、ここに示された数字以上のものがあるといえます。

(調査資料:地方自治経営学会)

行財政改革の方向と課題

すでにかなりの自治体において、「直営」からコストの低い「委託、パート、嘱託」への切り替えが進められていますが、しかし、全般的に見ると、未だ、直営のまま運営されているものが相当あります。

常にコストの面から行政をみること

今後、税金を効率よく使うという観点から、直営から委託への転換を積極的にはかって行くことが必要ですが、その際、とくに大事なことは、行政を常にコストの面からとらえ、眺めて行くということです。
これまで行政の領域では、「この仕事にどのくらいのコストがかかっているか」というコスト意識が著しく稀薄でした。これからは、あらゆる行政の領域について、まず、どの位のコストがかかっているのかを算定し、それを別の方式、例えば委託等に切り替えればどの位のコストが下がるのか、を数字で把握、検討し、住民サービスが変わらないのであれば、少しでもコストの低い方式に切り替える、それによって財源を生み出すということが是非とも必要です。
コストの公開を

――“納税者に「直営か、民間か」を選択して貰う”――

さらにこれまでは、このようなコストが一般には公開されず、住民にも知らされていませんでした。住民への情報公開で最も大事なものと思われますが、今後はこのコストを積極的に公開し、いずれの方式をとるのが税金を効率よく使うという観点から見て望ましいかを、納税者、住民にもよく考えて貰うということが必要です。
たとえば、ごみ収集についてみれば、
委託だと直営の44.6%のコストでできます。したがって残り55.4%は別の新しいまちづくり等の事業の財源に振り向けることができます。
その分だけ税金を生かして使える、そしてその翌年もこのような新たな財源が生み出されてくるとすると、同じ税金を2倍、3倍に、さらに4倍、5倍に生かして使えるということになります。
もし、これが直営のままだと、上述の55.4%分は全部ごみ収集のための経費として費消されてしまうことになります。委託の場合には、55.4%分の税金が「生きたカネ」として使われるのに対し、直営の場合には、55.4%分の税金が「死にガネ」になってしまっているわけです。
このようなことから、ひろく行政のコストを公表し、納税者とともに税金の使われ方を考える――ということが是非とも必要です。

行財政改革は “文字だけでなく、数字で示すこと”

これまでの多くの自治体で取り組まれてきた地方行革大綱等では、「委託」とか「OA化」などの、言葉・用語だけが並べられた作文の感が強かったのですが、およそ行財政改革というのは数字で示すこと、とくにコストをいかにして引き下げるかを示すことが極めて肝要です。

委託によって生み出される額は大きい

さらに、調査によって示された数字からも明らかなように、委託・嘱託・パート化等によって生み出される財源は、中小都市でも1億の単位の金額となって出てきます。行財政改革、新たな財源づくりという観点から見た場合、極めて有効な効果の大きい手法だといえます。

管理は、行政でなく民間、地元又は嘱託、パートで

なお、今後の行政運営にあたっては、
 「施設の建設は行政」で行っても
「管理は民間、地元又は嘱託、パートで 

  管理に 行政(正規職員)は、直接手を出すべきではない

ということができます。今後の方向として、重要な視点と考えられます。

財源を福祉や教育へ

そうして改革で産み出した財源は、福祉や教育に回すことができます。改革をしなければ、税金は今までのように人件費に費やされます。
私は、皆さんの税金が一円でも多く、皆さんにお返しできる日本一の市を目指しています。

「行政と民間の費用対効果についての検証は、小著『別府市に見る行財政改革』で詳しく対比しています。一度読んでください。